春過ぎて 夏来るらし 白妙の 衣干したり 天香具山
百人一首で見た・聞いたことがあるのではないでしょうか?
意味は以下のとおり。
この短歌を詠んだのは、持統天皇。
日本史上三人目の女性天皇で有名ですが、いったいどんなことをした人なのか?
詳しく知らない人が多いと思います。
実は、今の日本の形を決めた女帝だったんです!
今回は、そんな持統天皇の真実について、掘り下げてみたいと思います。
持統天皇について
『持統天皇』は即位前の名を、鵜野讃良皇女(うののさららのひめみこ)といいます。
父は「大化の改新」を実行した、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)です。
13歳のときに、父の弟(伯父)である大海人皇子(おおあまのおうじ)の妃(きさき)となり、壬申の乱(じんしんのらん:672年)を経て、大海人皇子が即位して『天武天皇』となると、その皇后となりました。
そして、夫である『天武天皇』の崩御後、しばらくして即位し、律令制度の確立、藤原京の造営など、古代史に大きな足跡を残しました。
現代にも役立っている日本の形を決めた女帝と言われているのは、こういう功績があるからなんですね。
皇子の妃から皇后へ
時はまさに“動乱”の時代。
海峡のすぐ向こうにある“百済”(くだら)が、侵略者である中国の“唐”・朝鮮の“新羅”の連合軍に敗北、朝鮮半島の権益を守るため、派兵したものの大敗。
こんな社会情勢下で、日本を世界の諸外国に劣らない“中央集権国家”に短期間で仕立て上げようとしたのが、父である中大兄皇子(天智天皇)でした。
その後、この『天智天皇』の右腕とも目されていた、夫の大海人皇子と共同して、この政治システムを完結するために奔走します。
ポテンシャル不足だった『天智天皇』の息子である大友皇子(おおとものみこ)を相手に、“壬申の乱”を勝ち抜き、夫の大海人皇子が『天武天皇』として即位するのに合わせて“皇后”となりました。
皇位継承の変革 吉野の盟約とは
『天武天皇』は、吉野に“全ての皇子”達を呼び寄せ、皇后の面前で一つの「誓い」を立てています。
「我が子供、各々異腹にして生まれたり。しかれども今、一母同産の如く慈し(いつくし)まん。」
これが、吉野の盟約と呼ばれるものです。
后(きさき)の中で、ある一人の人間(鵜野皇后(うのこうごう))を特別に位置づけると、“后”の宮と、“大王”の宮で別々に成長したそれぞれの子ども達にライバル心が生まれてしまいます。
天武天皇は、それぞれの子ども達が、背後にいる“氏族”達の勢力と結びついて皇位継承争いの発端となることを恐れたのでした。
実際に、天武天皇は兄の子を討ち果たしていますので、身内同士の後継者争いを起こしたくないと考えたのでしょう。
吉野の盟約によって、どの子供達も、皇后(正室)の子であるという誓いを立てることで、皇位継承は“直系の長男”と決まり、皇位継承争いは無くなるというものです。
この考え方は、第二次世界大戦の終戦前まで継承されることになります。
大津皇子の謀反(むほん)
『天武天皇』と鵜野讃良皇女(うののさららのひめみこ)の間には、草壁皇子という後継者(長男)がいました。
しかし、病弱だったことと、政治的実績に欠けていたことがネックとなり、鵜野讃良皇女の妹、大田皇女と『天武天皇』との間に生まれた、1歳年下の大津皇子が政敵としてのし上がってきました。
ところが、『天武天皇』が崩御した翌年、大津皇子は謀反(むほん)が発覚したことから、自害したと言われています。
この結果、草壁皇子が名実共に後継者となったのですが、数年を経ずして他界しました。
その後継として草壁皇子の息子が候補に挙がりましたが、まだ年若く、即位は難しいと考えられていました。
持統天皇の即位と治世
父である『天智天皇』が目指した、中国の“唐”を模範とした政治システムの構築は、夫である、『天武天皇』が承継しました。
ただ、その後を継ぐための鵜野讃良皇女の孫である草壁皇子の息子が即位できる年齢ではないため、唐を模範とした政治システムの構築は危機を迎えます。
そこで、その大役を最終的に完成させることができるのは自らしかないと決意。
『持統天皇』として、自身が皇位継承することでこの難題を解決しようとしたのです。
この時に、
とし、天照大神から選ばれた証として、草薙剣、八咫鏡(やたのかがみ)等の“神器”を用いる、現代にもつながる皇位継承の様式を創り上げました。
更には、
など、今の日本につながる形を創り上げたのです。
持統天皇の短歌はあの百人一首で有名だけど、どんな人だった?のまとめ
日本の最高神は“天照大神”(あまてらすおおみかみ)、古代混乱を極めた“倭国”を統一し、安定した国家を作った“卑弥呼”、そして現代までつながる日本の形を創り上げた、“持統天皇”。
この3人は、すべて女性です。
日本という国家の国難を治めるのは女性なのかもしれませんね。
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